過敏性腸症候群について
いつもお腹が張って気持ちが悪い、お腹がギュルギュル、ゴロゴロ鳴る、便秘や下痢を繰り返す、こんな症状で悩んでいる方、「過敏性腸症候群」という病気かもしれません。
過敏性腸症候群は、仕事やその他社会生活でストレスが多い人や、ちょっと神経質な人がかかりやすい病気です。
胃や腸に病気があるわけではなく神経性のもので、腸が正常な働きができなくなっている状態です。原因となっている問題(ストレスなど)を解消または軽減して、神経が正常に働くようになれば改善する症状です。
上でも少し触れていますが、過敏性腸症候群の原因には、
- ストレスなど精神的な負担が大きい
- 神経質な性格
- 自律神経の働きが弱い
- 生まれつき胃腸が弱い
などが挙げられます。
人のカラダは、痛い想いや苦しい思い、つらい思いなど強いストレスを受けると、それを和らげようとして色々な反応をします。例えば、別名「幸せホルモン」といわれるセロトニンという物質は、気分や感情のコントロールをしていて、この物質が不足するとうつ病その他の精神疾患にかかりやすくなります。
セロトニンは、ほとんどが腸で作られています。ストレスを受けた脳が、セロトニンを増やせという命令を出すと、腸でたくさんのセロトニンが作られますが、セロトニンが多く出過ぎると下痢を起こします。反対に、少なくなり過ぎると便秘になります。
セロトニンを増やすには、ウォーキングやサイクリングなどが効果的とされています。また、肉や魚など、動物性のタンパク質を摂ることで補うことができます。
過敏性腸症候群は、いつも下痢気味、いつも便秘、下痢と便秘の繰り返しなど、人によって症状が違いますが、どのタイプにも共通して現れる症状もあります。胃や腸ににガスが溜まりやすくなるので、下腹が張る、お腹が鳴る、胃の膨満感、ゲップ、吐き気などの不快感があります。
その他にも、頭痛、めまい、不眠、全身の倦怠感、不安感などの症状が見られることもあります。
過敏性腸症候群の鍼灸治療
過敏性腸症候群は、ストレスなど心に大きな負担がかかることで腸に異常が起きて、消化吸収という循環がうまくできなくなる病気です。西洋医学では、肝臓や腎臓を循環器といいますが、東洋医学でも肝臓は体内の循環を管理する臓器とされています。
肝臓はとてもデリケートな臓器で、ストレスなどの影響を受けやすいのです。ストレスで肝臓がやられると、体の中の色々な循環が乱れて、胃腸などの消化器にも影響が現れます。
鍼灸治療では、腸の調子を整えるとともに、肝臓の働きも正常に戻るようにすることで症状の改善を図ります。
よく使われるツボ
お腹のツボ
中脘(ちゅうかん)は、消化器などの内臓のトラブルによく使われるツボで、みぞおちとおへその真ん中あたりにあります。
天枢(てんすう)は、便秘や下痢など大腸のトラブルによく使われるツボです。おへその両脇にあって、おへそから大体指3本くらいのところにあります。
気海(きかい)は、気の海と書くように気の力が弱っているときに使われるツボです。過敏性腸症候群では、ストレスや神経の使いすぎで精神的にダメージを受けて気の力が弱っていますから、このツボで気を補います。場所は、おへその真下で大体指3本くらいを目安にするとよいでしょう。
足のツボ
行間(こうかん)は、肝臓の気を整えるツボです。ストレスのせいで乱れた肝臓の気を整えて、体の循環が正常に働くようにすることで、過敏性腸症候群の症状を体全体から改善していきます。
場所は、足の親指の爪の第2趾側のラインから下がった指の付け根にあります。