逆流性食道炎について

779203.jpg逆流性食道炎は、名前のまんま逆流して食道が炎症を起こす病気です。何が逆流するのかというと、左の画にあるように胃酸(胃液)です。

胃酸は、空腹のときのphが1〜2という強い酸性です。phというのは、酸性・中性・アルカリ性といった液体の性質の度合いを表すもので、数字が小さいほど酸性が強くなります。ちなみに、水道水は中性でph7くらいです。

胃酸のph1〜2というのは、塩酸を100倍に希釈したものと同じくらいで、ph1の塩酸にアルミ箔を入れておくと、24時間で溶けて無くなってしまうといわれています。

そんな強烈な液体が流れ込んできたら、無事ではいられないですよね。では、どうして胃は大丈夫なのでしょう?

胃の内側は、胃酸から守るために粘膜で覆われています。さらに、胃酸の中には胃を守る成分が入っています。そのおかげで胃は、胃酸に溶かされることがありませんが、食道は粘膜で守られてはいませんから、胃酸が逆流してきたりするとダメージを受けてしまいます。

逆流性食道炎の症状と原因

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逆流性食道炎の主な症状は、ゲップ、胸焼け、胃もたれ、吐き気、せきその他の気管支の症状、胃酸による喉の痛み、胸や背中の痛みその他上記のようなものがあります。 

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食道は、口から入れた食べ物が胃に入るまでの通り道です。左右の肺の間を通り、横隔膜を突き抜けて胃の入り口である噴門(ふんもん)につながっています。

健康な人の食道は、胃酸が逆流しないように門が閉じるようになっています。逆流性食道炎の人は、何らかの原因でこの門が壊れてしまっているために、胃酸が逆流しやすくなっています。

門が壊れてしまう主な原因は、加齢です。この門は筋肉なので、加齢とともに筋力も弱ってきて緩みやすくなります。

若い人の場合は、食生活や便秘、姿勢,ストレスなどが原因になります。食べ過ぎや、便秘で腹圧が高くなると胃酸が逆流しやすくなります。猫背で背中を丸めるような姿勢や肥満も、お腹を圧迫してしまうのでやはり胃酸が逆流しやすくなります。

逆流性食道炎の改善方法

逆流性食道炎の症状は、薬で治療することができますが、それは対症療法で根本的な治療にはなりません。

逆流性食道炎を根本的に改善するには、普段の生活を気をつける必要があります。壊れてしまった門を治すには手術しかありませんが、門が多少緩んでいても、姿勢や食事に気をつければ胃酸の逆流を抑えることができます。

そのほかに、タバコやアルコールも、逆流性食道炎の原因となることがありますので控えましょう。

逆流性食道炎の鍼灸治療

東洋医学では、”気”の作用を「昇降出入」という言葉で表します。昇降出入というのは、気の流れる方向を「昇る」「降ろす」「出る」「入る」という4つの言葉で表したものです。

気が正い働きをすることで、食べる(入る)、食べたものを胃で消化して腸に送る(降ろす)、食べ物から吸収した栄養を全身に送る(昇る)、排泄する(出る)などの体の循環が保たれています。

胃の気は、食べたものを腸に送る「降ろす」働きがあります。ストレスや暴飲暴食、偏食などで気が正しく働かなくなったり、加齢で気の力が弱ったりすると、食べたものが消化されず胃もたれ、便秘などの原因になります。さらに、気が反対に昇る方に働いてしまうと、ゲップ、胸焼けなど逆流背衝動炎の症状につながります。

逆流性食道炎の鍼灸治療では、胃の気が正しい働きをするように整えることで改善を図りますが、同時に上の方でも述べているように、自分自身の日常生活にも気をつける必要があります。

胃の気を整える時によく使われるツボ

822945.jpgお腹にある「中脘」(ちゅうかん)は、おへそから指6本分くらい上で、おへそとみぞおちの真ん中あたりにあります。

「足三里」(あしさんり)は、足のスネにあるツボで膝のお皿の下にあるくぼみから指4本分くらい下にあります。

中脘と足三里は、どちらも胃の調子を整えるツボです。

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手の「内関」(ないかん)は、手首の真ん中のラインで、手首のしわから指3本分くらい肘側に寄ったところにあります。内関は、乗り物酔いや、つわりのときなどにも使われるツボで、ストレスなどで締め付けられるような感じになった胃を楽にしてくれるツボです。

足の「太衝」(たいしょう)は、足の親指と人差し指の間を足首の方にたどっていって、止まったところのくぼみにあります。太衝は、肝臓の経絡にあるツボで、肝臓は気の循環を管理しています。ストレスなどで、上がってしまった気を落ち着かせる時に使われます。